スイスの「ハンド・シェイク(握手)」プロジェクト、日本で大ヒット

Local news, 28.07.2020

スイスネックス・ボストンと科学技術部が企画した日米欧を結ぶオンライン・パネルディスカッションを機に、デザインデュオAATBの「ハンド・シェイク(握手)」が日本で最大のヒットを獲得しました。

「ハンド・シェイク(握手)」インスタレーション
「ハンド・シェイク(握手)」インスタレーション ©AATB/スイスネックス・ボストン

AATBとスイスネックス・ボストン発の「ハンド・シェイク(握手)」。この現実世界に設置されたロボットハンドをネット上で操作できる革新的なプロジェクトの一環として、スイス・日本・米国を結ぶオンライン・パネルディスカッションが在日スイス大使館科学技術部の協力の下、開催されました。この結果、オンライン上で他者と双方向の交流ができる、手の形をしたロボットで世界をつなぐ、このスイスのデモンストレーションに参加した地域の中で、「日本」と「東京」は他を引き離して圧倒的な参加者を集めるヒット地となりました。

AATBのアンドレア・アネルとティボー・ブレヴェの二人に加えて、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授、ロボット倫理研究の第一人者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのケイト・ダーリング博士が参加した「ロボティックスと直感的な相互作用」と題されたパネルディスカッションは、「ハンド・シェイク(握手)」プロジェクトに関する講演シリーズの第3弾でした。欧州、日本、米国で人々がほぼ自宅に閉じ込められている中、技術はいかにして新しい方法で他者との関係を築く可能性を広げられるか、伝統的なアプローチ法と新たなそれとのバランス、このような課題に対して芸術やデザインはいかにして創造的なひらめきを生み出せるか、といった話し合いは多くの参加者に刺激を与えました。時差の関係で米国の参加者にとっては早朝の、日本の参加者にとっては遅い開始時刻となりましたが、このシリーズの他の講演とほぼ同数の人々が参加登録しました。

「ハンド・シェイク(握手)」プロジェクトは、課題が新たな機会をもたらし得るかの好例です。新型コロナウイルス感染症の大流行のためニューヨーク市が封鎖された後、AATBとスイスネックス・ボストンは同市で予定されていた展覧会を現実世界と仮想世界のハイブリッドのプロジェクトにすることを決めました。スイスネックスの国際的なネットワークと、世界を「つなぐ」というその使命に基づいて、ボストンは東京に協力をあおぎました。その結果、東京だけではなく日本最南端の沖縄から最北端の北海道まで、日本全国から総計500名ほどが新たにプロジェクトを体験しました。

さらに、アジア諸国、特に中国と韓国からも多くのアクセスがあったのは、稲見教授によるイベントを総括する発信のおかげと考えられており、このプロジェクトがカバーする地域を環大西洋から環太平洋へと拡大することができたのは意義深いことでした。AATBによると、パネルディスカッション終了後の二日間、常にほぼ50名の人々が握手をするために待っていたそうです。